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2024.11.13
真のデジタル経営

「賃金のデジタル払い」で実現する労働力確保やコスト削減、デジタル文化醸成の可能性

「賃金のデジタル払い」で実現する労働力確保やコスト削減、デジタル文化醸成の可能性…

賃金のデジタル払いが2021年に解禁されると報道されてから3年が経ちましたが、第1号の資金移動業者として指定されたPayPayが2024年内に給与受け取りサービスを開始する予定、と発表されました。

昨今のキャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化を背景に、2024年3月にデジタル払い(資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払い)が可能となる法改正がおこなわれ、ようやく本格的にデジタル払いが解禁されることとなりました。

この制度はキャッシュレス社会の進展に伴い、企業・従業員の双方にメリットがあると期待されており、導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。

 

デジタル払い導入のポイント

①導入は任意

導入するか否かはあくまで会社の任意であり、会社主導での導入検討が可能です。

 

②事前準備、とくにシステムの確認は必須

導入する場合、労使間で協定書の締結が必要です。そのうえで、会社は労働者の個別同意を得る必要があります。

また、現行で使用している給与計算システムにおいて、システム内で対応可能かどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。(もし、システム処理できない場合は手作業でのオペレーションが想定され、その煩雑さから導入を見送る、というように導入にかかる意思決定にも影響するかと思います。)

導入が確定したら、従業員ごとにデジタル払いによって受け取りたい金額、資金移動業者の口座番号を確認します。

 

③銀行口座との併用

デジタル払いをおこなう場合でも、本人が希望すれば従来どおりの銀行口座と併用した振り込み対応が必要です。また、デジタル払いによる資金移動業者の口座の用途は「預金」ではなく「支払・送金」となります。つまり導入時には「預金」を目的とした銀行口座と「支払・送金」を目的としたデジタル払いの併用が想定されます。

 

導入の動向と企業が導入するメリットは?

現状、業務負担の増加や制度理解の不十分さ、セキュリティリスクへの不安を理由に、導入を検討する企業は限定的とする統計もありますが、デジタル払いを導入するメリット・前向きに導入を検討する理由としては、次のようなものが挙げられますのでご参考にしてください。

 

①労働者への福利厚生としての訴求効果

キャッシュレス決済に対する親和性はとくに若年層の方に高いため、若年層をアルバイト採用している小売業、飲食業などの業態は、労働条件としての訴求効果が期待でき、採用における差別化に繋がる可能性があります。

またデジタル払いは海外では一般的な地域が多く、外国人人材の獲得においても効果が期待できます。

 

②振込手数料の削減

多様な働き方が増えていることに伴い、給与の即日払いに対する需要も増えています。銀行口座への振込手数料よりも安価とされるデジタル払いを導入し、事務コストを削減することができます。

 

③デジタル文化の浸透・醸成

現在は制度自体に制約が多いのですが、将来的には活用幅が広がることも考えられます。今のうちからデジタル化に取り組んでいくことで、デジタル払い以外でもデジタル活用が浸透していき、結果として企業内の生産性を向上させる文化を醸成することに繋げられるのではないでしょうか。

 

労働力の確保や最新技術やトレンドを取り入れ生産性を向上させるための施策は、昨今の経営者にとってつねに関心があるテーマだと思います。先々を見据えて、今取り組むべきことを考えている皆さまのご検討の一助になれば幸いです。

 

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