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2021.07.07
真のデジタル経営

「DX」:「D」と「X」どっちが大事?

「DX」:「D」と「X」どっちが大事?…

上場企業が公表している中期経営計画のキーワードの一つが「DX」です。

DX とは「デジタルトランスフォーメーション」の略ですが、デジタル技術の進歩や人手不足対応、さらにアフターコロナを生き抜く上では中長期の最上位の経営課題と位置づけられるもので、経営者の皆さまも悩まれている領域だと思います。

 

1.DXの定義

経済産業省によると、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」)と定義されていますが、具体的には、「デジタル」を「ヒト」「モノ」「カネ」「情報(=デジタル)」と言われていた計画の4本柱の一つとして考えていくのではなく、「ヒト」「モノ」「カネ」の全てに関わる根本の戦略として捉えるといった「デジタルに対する位置付けの変革」が求められるといえます。

2.DXを分解する

DXというのは、「D(デジタル技術を徹底的に使いこなす)」と「X(企業構造・ビジネスモデルの継続的な変革)」に分解することができます。

D(デジタル)はなんとなくイメージがつくかと思われますが、DXを分解したときの「X」がポイントになります。

「X」とは「transformation」の略であり、「変化」ではなく、「変態」を意味します。これは、蝶に例えると、幼虫からさなぎを経て、成虫である蝶になることです。

 

一般的には、中小企業は過去ずっと同じビジネスモデルで業務をしてきていることが多く、「X」を意識したことがないのが現実です。イメージとしては、「デジタルトランスフォーメーションはデジタル変革の河を渡るプロセスであり、デジタルエンタープライズに至る道筋である。 目指す対岸や河の幅、深さは企業によって変わってくる。それぞれに合った渡り方で取り組む必要」(経済産業省「デジタルトランスフォーメーションの河を渡る」より)があり、今まで船に乗ったことがないチームがいく先もわからない大陸に航海をする覚悟が必要ともいえます。

出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-5.pdf)

 

意識したことさえない「X」を考えなければいけないというのが「DX」の難しさになります。

だからこそ、「X」を進める最初のステップは、「なぜDXするのか?」を会社として真剣に検討することが大切です。

3.「D」と「X」どっちが大切?

そのような中、経営者の皆さまからよく質問を受けるのが「DとXどちらから手をつけた方がいいの?」という問題です。

 

①「D」から手をつける

いざ、DXを推進してみると、「D」の部分が今までやってきたことがない領域なのにもかかわらず、現場メンバーで「DXプロジェクト」を立ち上げることになります。プロジェクトチームとしても「デジタルをなんとか活用しなければならない」という想いが先行し、「とりあえず現場で活用できる」デジタルの活用の推進をします。最初はいいのですが、数年経ってみると「部署ごとにバラバラのデジタル化が進み、全体としての構想がない」状態となってしまった事例が散見されます。DX自体が目的化してしまうことによる「失敗例」は数多くあるのではないでしょうか。

②「X」から手をつける

一方で、「将来どうあるべきかの計画が何よりも大切。会社・従業員・取引先三方よしの経営をしていく」と会社全体であるべき姿を検討(X)し、実行していく会社もあります。ビジョンを考え実行していくことはもちろん素晴らしいことですが、ポイントとなるのが「現状のビジネスモデルの延長線で検討してしまっている」ケースです。

その場合、例えばコロナ前に計画を作られた会社の場合は、「想定以上に業界のデジタル化が進んだため」などの理由で業績を悪くしているケースもよく見受けられます。

 

③DXを推進

それでは、どうしたらDXが推進できるのでしょうか。

我々なりの回答は、

 

  • 現場では、「D(デジタル)」の小さな成功体験を積ませながら、経営者としては「どんな大陸に行きたいのか?」=「X(どんな企業になりたいのか?)」を同時に考えていく。

 

この両輪が必要となります。

 

「D」を使ってみないと「どんな世界に行けるか(X)」わからないですし、

「そもそも行きたい世界(X)」がわからなければ「どんなデジタル技術が自社に合う(D)」かわからない

 

このどちらもが正解といえます。

 

DXの両輪を推進するためには、「Dを活用してみて、Xを検討するという」ビジネスサイクルを”素早く回す”ことが今できることではないでしょうか。

このビジネスサイクルを何度も回し、トライアンドエラーを繰り返した会社のみがDXの恩恵を得ることができる。

そう考えています。

 

出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-5.pdf)

 

本音をいえば、「中期事業計画」に記載されているような計画は将来どうなるかわかりません。言い方を変えれば、現状のような変革の時代に「中期経営計画」を経営の中心に置くことにムリがあると考えます。

計画を立てることより、とにかく、「デジタルでできることを推進しながら、どこにいきたいかを考え続ける」、これを失敗を恐れずに推進できる企業が生き残ることができるのではないでしょうか。

 

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