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短期駐在プロジェクト ーベトナムのエネルギーから学んだ「真のグローバル化」とはー

短期駐在プロジェクト ーベトナムのエネルギーから学んだ「真のグローバル化」とはー

ベトナムの街を歩いていると、誰もが一度は「洗礼」を受ける瞬間があります。それは、絶え間なく続くバイクと車の波をかき分けて、道路を横断するときです。信号機が少ない交差点も多く、たとえ信号があったとしても、日本のように「赤になればすべての車がピタリと止まる」という安心感はそこにはありません。

押し寄せるエンジンの轟音、鳴り響くクラクション。その隙間を縫うようにして一歩を踏み出すとき、足がすくむような恐怖を感じることも珍しくありません。日本で暮らし、整然とした交通ルールに慣れきった目で見れば、それはあまりに無秩序で、危なっかしい光景に映ることでしょう。

そんなとき、私たちの心の中には、無意識のうちに次のような感情が芽生えてはいないでしょうか。「交通マナーが守られていない」「モラルが低いのではないか」。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。私たちは、いわゆる「発展途上国」という言葉を盾にして、無意識のうちに上から目線で彼らを見ていないでしょうか。自分たちの基準を「正解」とし、そこから外れているものを「遅れている」と断じてしまう。もしそうだとすれば、その硬直した視点こそが、グローバル化する上での大きな壁になっているのかもしれません。

生きることへの「前のめり」なエネルギー

ベトナムの街に溢れるあの混沌は、単なる無秩序ではありません。それは、一人ひとりが「少しでも早く目的地に着きたい」「少しでも多く仕事をこなしたい」「少しでも生活を豊かにしたい」と願う、強烈なエネルギーのぶつかり合いです。ベトナムで暮らし、彼らの表情を見ていると、生きること自体に対して非常に「前のめり」であることに気づかされます。

彼らにとって、道路のわずかな隙間を見つけて突き進むことは、生存競争の中でチャンスを掴み取る姿勢そのものなのかもしれません。そう考えたとき、その貪欲さを「マナー不足」という一言で片づけてしまうのは、あまりにもったいない気がするのです。

振り返ってみれば、かつての日本も同じような道をたどってきたはずです。戦後の焼け野原から立ち上がり、高度経済成長期へと突き進んでいった時代の日本人も、今のベトナムの人々と同じように、泥臭く、必死に、そして前のめりに生きていたのではないでしょうか。

今の日本は、社会の隅々までルールが行き届き、清潔で、安全な国になりました。それは素晴らしいことですが、一方で、私たちは「用意された正解」の中でしか動けなくなってはいないでしょうか。

変化の時代に、ルールは私たちを守るのか

今、世界は大きな転換点にあります。国同士の力の争いが表面化し、AIをはじめとするテクノロジーの進化が、これまでの社会の仕組みを根本から変えようとしている時代です。

このような「何が起こるかわからない」時代を生き抜くために、本当に必要なのは、教科書に書かれたようなルールを完璧に守る従順さだけなのでしょうか。

もちろん、社会生活を営む上でモラルは大切です。日本という国が培ってきた「譲り合い」や「和の精神」は、世界に誇るべきよい文化です。しかし、前提条件が次々と塗り替えられていくこれからの時代においては、ルールをただ守るだけでなく、「ルールがない場所でどう動くか」「予測不能な事態にどう反応するか」という力が問われます。

ベトナムの道端で、バイクの波に飲み込まれそうになりながら、それでも前へ進む道を見つけ出す。あのような直感的な判断力、すなわち「反射神経」こそが、今、私たちに不足しているもののように思えてなりません。

真のグローバル化とは「反射神経」を鍛えること

みらいコンサルティンググループが推進している「短期駐在プロジェクト」の目的は、単に海外拠点との交流だけではありません。日本という安全な温室から外に出て、異なる価値観や熱量に直接触れることで、コンサルタント自身の「グローバル化」を加速させることにあります。

では、私がベトナムの喧騒のなかで感じた「真のグローバル化」とは何でしょうか。

それは、自分たちの常識が通用しない場所で、「なぜ彼らはこのように動くのか」という背景にある本質を学び取ること。そして、多様な考え方の存在を認め、どんなに混沌とした状況であっても、柔軟に対応できる反射神経を高めることです。これこそが、グローバルという荒波を生き抜くための本質ではないでしょうか。

ベトナムの道路を横断するとき、私たちは恐怖を感じます。しかし、迫りくるバイクをしっかり見ながら一歩を踏み出し、流れにのって渡りきったとき、視界は少しだけ開けます。

自分たちの正義で相手をジャッジするのをやめ、その場所にあるエネルギーを肯定すること。その積み重ねが、お客さまによりそうコンサルタントとしても、一人の人間としても、より強く、しなやかにしてくれるのだと確信しています。

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