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「予定調和」を捨てた先に広がる、成長実感

「予定調和」を捨てた先に広がる、成長実感

「海外旅行にも興味がなく、転勤すら嫌だった。そんな自分が今、ホーチミンにいることが一番の驚きです」 そう穏やかに笑うのは、京都銀行から出向中の横関裕志さんです。かつての彼は、地元・近畿圏での生活を大切にする、いわゆる「内向き」な青年でした。そんな彼を変えたのは、愛知県の営業現場での出会いでした。

大手自動車メーカーの取引先が多く集まるエリアで、企業の決算書を通じて見えてきたベトナムの存在。「今のまま同じ毎日をくりかえしていていいのだろうか」。そんな漠然とした不安のなかで、彼はひとつの賭けに出ました。それが、銀行の海外公募制度への挑戦でした。

「何がしたいか明確な答えがあったわけではない。ただ、他人とは違う自分の武器が欲しかったんです」

背中を押した「家族」と「仲間の存在」

未知の世界への一歩に迷いがなかったわけではありません。しかし、その背中を強烈に押したのは、意外にも最も身近な存在である奥さまでした。 「こんな機会はなかなかない。なぜ行かないの?」 メガバンクで働く奥さまのその一言が、横関さんの覚悟を決めました。家族を連れての駐在は、言葉の壁や医療への不安も伴いましたが、実際に飛び込んでみると、そこには日本で想像していた「後進国」というイメージを覆す活気と、温かなコミュニティが待っていました。

特に横関さんが衝撃を受けたのは、日本では競合相手である他行の駐在員たちが、ベトナムでは手を取り合い、情報を交換し合う「仲間の姿」でした。 「国内ではバシバシ戦っているライバルが、ここではワクワクしながら助け合っている。その光景を見たとき、自分の中の凝り固まった常識が崩れていくのを感じました」

「いい加減さ」を「生命力」と捉え直す視点

ベトナムでの3年間は、横関さんのビジネスマンとしての「OS(基本ソフト)」を根本からアップデートしました。

日本の銀行員としての「正解」を基準にすれば、ベトナムの仕事環境は時に「いい加減」に映ることもあります。しかし、横関さんはそれを単なるストレスとして切り捨てるのではなく、背景にある国民性や愛国心、そして「まず動いてから修正する」というアジャイルな生命力として捉え直すようになりました。

「変えられるのは自分だけ。相手を自分の尺度でコントロールしようとするのではなく、相手のありのままを許容し、そのなかでどう目的を達成するか。この『思考の柔軟性』こそが、僕が手に入れたかった武器なのかもしれません」

「機会」を掴むか、やり過ごすか

現在、多くの企業で若手の海外離れが叫ばれています。横関さんは、かつての自分と同じように「内向き」な後輩たちへ、実感を込めてメッセージを送ります。

「会社が用意してくれる機会は、思い切って掴んでみるべきです。現実に向き合わなければならない環境に追い込まれて初めて、興味は芽生えるものですから」

最初は「他人と違う何かが欲しい」という淡い動機でも構わない。大切なのは、その機会をキャッチし、自分の「基準」を揺さぶる環境に身を置くことです。

硬い印象の強い銀行員から、柔軟な発想を持つビジネスコンサルタントへ。ホーチミンの喧騒のなかでアップデートされた横関さんの視座は、日本に戻った後、地域の枠を超えて多くの企業を支える「真のグローバルなハブ」となって輝きを放つに違いありません。

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