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右肩上がりの経営

人手不足は、成長の好機。補助金で「守り」を「攻め」の経営に変える

人手不足は、成長の好機。補助金で「守り」を「攻め」の経営に変える

変化の波を、未来への「追い風」に変える

「円安、深刻な人手不足、そしてデジタル化の波…」 日本経済を取り巻く環境が大きく変わる今、みなさまは会社の未来をどのように描いていらっしゃるでしょうか。

私は長年、多くの企業の成長と衰退を見てきましたが、成功する企業には一つの共通点があります。それは、変化の兆しをいち早く捉え、勇気をもって次の一手を打つことです。

冒頭に挙げた変化は、多くの経営者にとって、頭の痛い問題かもしれません。 「人手が足りない」「コストが上がる一方だ」「デジタル化と言われても、何から手をつければ…」 こうした悩ましい課題を、どうすれば乗り越えられるのか。

見方を変えれば、これらは自社を変革し、新たな成長ステージへ進むための絶好のチャンスとも言えます。そして今、その変革を力強く後押しする「追い風」が吹いています。それが、国が推進する様々な補助金制度です。

しかし、補助金を単なる「目先の資金繰りを助けるもの」と考えていては、その効果は半減してしまいます。 このコラムでは、補助金を「未来への投資戦略」として活用し、会社の体質を根本から変えるための3つの視点についてお話しします。

「守り」の省力化から、「攻め」の省力化へ

「人手が足りないから、機械化で補おう」 これはもちろん、正しい判断です。しかし、その一手だけで終わらせては非常にもったいない気がします。

たとえば、「中小企業省力化投資補助金」のような制度を活用した事例を見てみましょう。

  • 製造業: ロボット導入で作業員2名分の仕事を自動化。結果、生産性が30%向上した。
  • 小売業: 在庫管理システムを刷新し、人件費を15%削減。さらに、データ分析で売れ筋を正確に把握し、売上が8%増加した。

注目すべきは、コスト削減という「守り」の成果だけでなく、生産性向上や売上増という「攻め」の成果に繋がっている点です。

省力化は、単に人手を補う「穴埋め」ではありません。空いた時間や人手を、より付加価値の高い仕事(たとえば、新商品の企画や、お客さまへの丁寧なサービス対応など)に振り分ける。それによって、会社の「稼ぐ力」そのものを強くする。これこそが、「攻めの経営戦略」としての省力化なのです。

「この作業は、人にしかできない」 そんな思い込みはありませんか? 最新の技術は、私たちの想像以上に進化しています。今こそ固定観念を一度リセットし、事業の課題を解決する「攻めの省力化」を検討してみてはいかがでしょうか。

「今の延長線上」から、「新しい稼ぎ方」へ

事業が安定している会社ほど、無意識に「今の事業の延長線上」で未来を考えがちです。「このまま行けば、来期も大丈夫だろう」と。

しかし、市場が静かに縮小したり、ビジネスのルール自体が(たとえばデジタル化によって)ガラリと変わったりする現代において、その戦略は緩やかな衰退に繋がりかねません。

ここで鍵となるのが、「中小企業新事業進出補助金」や「中小企業成長加速化補助金」といった制度です。これらの補助金は、単なる古い設備の買い替えではなく、今の事業とは異なる新しい市場や分野への挑戦を力強く応援してくれます。

  • 新事業進出補助金: 今の事業とは違う「新規性」が求められます。
  • 成長加速化補助金: 売上100億円を目指すような「大胆な成長投資」を支援します。

これらの制度が経営者に問いかけているのは、「あなたの会社は5年後、10年後、何で利益を上げていますか?」という、とても本質的な問いです。

自社の技術や強みを、別の市場で活かせないか? 全く新しいサービスで、お客さまの隠れたニーズに応えられないか?

こうした「非連続な成長」(=これまでの延長線上ではない、ジャンプするような成長)を描くための挑戦を、国は資金面でサポートしてくれるのです。

専門家は「代行業者」ではなく「ビジョン実現のパートナー」

「そうは言っても、補助金申請は難しそうだ」
「事業計画書なんて、どう書けばいいか分からない」

そう思われるのも当然です。補助金申請は、手続きが非常に複雑で、説得力のある事業計画書を作るのも簡単ではありません。申請業務には法律上のルールもあり、専門家を頼ることはとても有効な選択肢です。

しかし、ここで最も重要な心構えがあります。 それは、専門家を「面倒な作業を代わりにやってくれる人(代行業者)」として使わないことです。

本当に頼りになる専門家は、ただ書類を作るだけではありません。 社長の想いや会社の現状を深く理解し、数ある補助金の中から最適なものを提案し、そして何より、その事業計画が絵に描いた餅で終わらないよう、実現に向けて一緒に汗を流してくれるパートナーです。

専門家との対話を通じて、「うちの会社の本当の強みは何だろう?」「この投資は、本当に会社の未来のためになるのか?」といった問いに、改めて向き合うことになります。このプロセス自体が、自社の課題を洗い出し、進むべき道筋を再確認する貴重な機会となるのです。

専門家とは、補助金という「きっかけ」を通じて、経営者のビジョン(未来像)を実現するパートナーに他なりません。

ピンチを「次の一手」の原動力に

人手不足やコスト高は、確かに厳しい現実です。しかし、それは「今まで通りではダメだ」という社会からのメッセージでもあります。

「守り」の投資で足元を固めつつ、「攻め」の投資で新しい未来を切り拓く。その両輪を回すための起爆剤として、補助金は非常に強力なツールとなります。

当社では、私たち以外の専門家とも連携し、こうした補助金活用のご支援も行っています。「何から始めればいいか分からない」という段階でも構いません。ぜひ、みなさまの未来に向けた挑戦のお話をお聞かせください。

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