高齢化と米価高騰の裏側で ~一次産業の事業承継問題に迫る~

2025年4月、アグリ経営パートナーズ(北海道深川市)とみらいコンサルティンググループは、一般社団法人一次産業事業承継協会を設立しました。
深刻化する一次産業の担い手不足
協会の設立目的は、一次産業の現場で進む従事者の高齢化と、次世代の担い手不足の解消です。農業では耕作放棄地が増加し、漁業では若手の漁業従事者が増えません。漁船の減少も深刻で、穀物の生産高や漁獲高が減少し、日本の食料自給率が著しく低下しています。昨今、世界各地で保護主義的な関税問題が起きており、海外からの食料輸入が減ったり、輸入できなくなる事態も考えられます。自国で食料の自給自足をすることは、とても重要な課題です。
日本の食料自給率はどれくらい?
もっとも自給率が高いオーストラリアはカロリーベースで233%、生産額ベースで119%であり、自国内で十分に食料を賄えている状態です。それに対し、日本の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで61%と、主要先進国の中で低い水準であることがわかります。


この差の原因は明確には分かりませんが、大きな問題のひとつとして、一次産業への従事者や従事企業の大幅な減少が考えられ、その要因のひとつが、事業承継が進んでいないことがあるのではないかと思います。
事業承継が進まない理由
一次産業の事業承継が進まない理由は、主に以下の点が考えられます。
・体力的な負担が大きい
・収入が不安定で低い
・生産技術が生産者の経験や勘に頼りになっている
近年、特に昨年から米不足と米価高騰が大きな問題になっています。米5キロが4千円台と高騰している一方で、米作農家の倒産や廃業が増加しています。帝国データバンク「米作農業」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-8月)によると、増加の原因は、後継者不足、農業就農者不足、生産コスト(肥料・燃料費など)の高騰です。
このような背景から、後継者不足による廃業からの回避を支援するため、一次産業事業承継協会を設立しました。農業生産法人の設立、農業生産者のホールディングス
化、一般企業が参加した形での承継など、考えられる手続き方法を駆使し、事業承継に困っている一次産業従事者や事業主を支援してまいりたいと考えていますので、もし何か気になることなどがございましたらぜひお気軽にお知らせください。
一般社団法人 一次産業事業承継協会
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