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2025.01.16
世界を駆ける経営

2025年、ビザ緩和政策を切口に日中関係に新たな進展

2025年、ビザ緩和政策を切口に日中関係に新たな進展…

2024年秋以降、日中両国は頻繁に交流しており、関係が好転する可能性を示すポジティブなシグナルが相次いで出ています。ビザ相互発給政策の緩和から、経済貿易協力の深化、首脳会談の開始まで、2025年に日中両国の関係は新たな局面を迎えて、画期的な進展を遂げる可能性がある兆しが見えてきています。

 

障壁打破の第一歩はビザ緩和政策

ビザ(査証)政策は、両国間の人的交流にとって重要な敷居です。

 

中国は2020年春に新型コロナウイルス禍を受け、諸外国に対する短期ビザ免除を停止しました。コロナ収束後、短期ビザの免除対象国を広げてきましたが、日本は対象から外れていたのはご承知のとおりです。経済界の要望を受けて日本政府が再開を繰り返し求めていましたが、中国側は中国人の訪日でも同様に免除する「相互主義」を新たに掲げて再開に応じていなかった経緯があります。しかし、中国外務省は2024年11月22日の記者会見で、日本に対する短期滞在のビザ(査証)免除措置の再開を発表、11月30日から2025年12月31日までの措置ではありますが、ビジネスや観光などの目的による30日以内の短期滞在のビザなしでの渡航が可能となっています。

 

一方、日本の外務省も、2024年12月25日、中国人が日本に滞在する際のビザの緩和措置を発表しました。日本に入国を希望する中国籍の旅行者に対して、主に富裕層向け(申請者は一定年収と資産要件を満たす必要がある)に10年間有効の観光用の数次ビザを新設しました。また、団体観光ビザの滞在日数の延長を行い、団体ツアー用のビザについては、滞在可能日数も当初の15日から30日に延長されます。

 

中国政府からすると、ビザ免除の再開で日本との貿易を促進する狙いがあるとみられますし、日本政府もビザの制限を緩和することで、特に富裕層の中国人観光客を増やし、両国間の経済・文化交流を促進したいと考えているでしょう。

この互恵的な施策は、両国間の観光復興を促進するだけでなく、両国民の相互理解を深め、両国関係と世論を改善する基礎を築くことになる、と期待しています。

「百聞は一見に如かず」、両国の国民にお互いを「見る」機会を提供し、誤解を解き、相互信頼を高めるための大切な扉を開くものであると考えます。

 

経済・貿易協力は、関係構築の基盤

経済貿易関係は常に日中関係の重要な基盤です。両国関係の浮き沈みにもかかわらず、経済貿易面での協力は常に比較的安定した発展傾向を維持してきました。

 

トヨタ自動車は2024年12月に中国で電気自動車(EV)を生産する新工場を建設する方針を発表、新工場では、現地サプライヤーからの調達を増やす方針で、上海市内で高級車ブランド「レクサス」を生産するとのことです。今まで中国生産は現地メーカーとの合弁会社が担ってきましたが、トヨタとして初めて単独で建設して運営するとのことで、これは間違いなく日中間の経済貿易協力の重要な一例だと考えます。
余談になりますが、トヨタが世界最大の自動車市場である中国に投資して工場を建設するという選択は、中国市場を重視しているというだけではなく、新エネルギー車の分野における両国の協力の大きな可能性を反映しているのではないでしょうか。

 

加えて、中国が福島県産水産物の輸入を開放すると発表したことは、中国国内では一定の賛否両論を引き起こしたものの、日中関係の改善を推進する中国側の誠意と現実主義を示すもの、と考えられますし、なにより、食の安全確保を前提とした正常な経済・貿易交流を徐々に再開することは、両国民の共通の利益となります。

 

中国現地で日系企業の中国ビジネスをサポートする立場のみらいコンサルティンググループの北京・上海・深セン拠点からすると、日中関係が既存の基盤の上で新たな進展を遂げることを心の底から期待しています。上述したような経済・貿易分野における前向きな進展は、両国が経済レベルにおいて多大な協力の余地がまだまだあることを示しているかと思いますので、これからもご注目ください。

 

 

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