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個人の信用度をスコア化する中国の取り組み—ゴマ信用
ゴマ信用(芝麻信用・Sesame Credit)とは
ゴマ信用(芝麻信用)はアリババグループのアント・フィナンシャルサービス傘下の独立した第三者信用機関であり、クラウドコンピューティング、機械学習などの技術を通じて個人や企業の信用状況を客観的に反映するものです。一言でいうと、ゴマ信用は、「アリババグループのデータに基づいた信用評価」となります。
信用のスコア化
ゴマ信用はユーザー個人の信用度をスコア化するものです。ユーザーは自ら身分証、クレジットカード、保有不動産などのあらゆる個人情報をゴマ信用のアプリに入力した後、ゴマ信用はAIによってユーザーのスコアを総合的に算出しています。算出されるスコアは、以下の5段階に分類されます。
350~550 「信用較差」(やや劣る)
550~600 「信用中等」(普通)
600~650 「信用良好」(やや優秀)
650~700 「信用優秀」(優秀)
700~950 「信用極好」(極めて優秀)
ゴマ信用の特典
ユーザーはこのスコア化された点数によって様々な特典が受けられます。かなり多くの特典があるため、ここではその一部をご紹介します。
ゴマ信用スコアを稼ぐため
ゴマ信用では、各特典を受けるために必要なスコアが提示されているため、ユーザーはより高い点数を目指しています。しかし、実際には採点方法についての詳細は明らかにされていませんので、一般的にスコアを稼ぐために必要な項目や行為は次のように予想されています。
1.支払履行記録
ユーザーの過去の支払い履行能力を証明するデータです。支払履行記録はスコア評価において最も重要な部分であると考えられます。例えば、借入金返済の延滞の有無や返済実績です。
2.各種行動の累積
ここでの「行動」というのは、ユーザーのモバイル決済、ショッピング(支払回数、支払金額等)、公共料金の支払(電気代、水道料等)、クレジットカード返済、公益などの取引履歴のデータを指します。「行動の蓄積」は、「支払履行記録」の少ないユーザーにとって非常に重要となる要素です。また、海外旅行でモバイル決済サービス「アリペイ」を使うことは、スコアアップの大きなチャンスになりますので、日本でアリペイを使いたい中国人観光客も多いようです。
3.身分証明書
ユーザーの身分、年齢、学歴、仕事などの情報を検証できるデータを指します。「身分証明書」は信用スコアの基礎データであり、完全な身分証明書情報は信用評価に非常に役立つと言われています。
4.資産証明
アリペイで管理可能な資産データ及びユーザーが提出した資産関連データです。不動産、マイカーなどが含まれています。「資産証明」は「支払履行記録」と「各種行動の累積」が少ないユーザーにとっては重要とされます。
5.人脈(交友関係)
ユーザーが許可した友人関係データです。「人脈」は主に資金的なつながりのある友人が重要で、その友人の評価が影響しているようです。身分や評価が高い友人と資金的なつながりがあると、ユーザー本人の評価も上がるようです。
信用スコア化の社会的なメリット
一度スコアが下がってしまった場合は、スコアを上げることが厳しく、かつ、信用度のスコアが上がるとメリットが大きいので、ユーザーは自らの行動を律するようになります。そのため、「不正が減った」、「マナーが向上した」といった社会的なメリットもあります。
中国における個人情報は、それによって個人が得られる生活上の利便性が大きければ大きいほど、個人はその利用にそれほどアレルギーがありません。
スコアは他の企業も利用が可能となっていますので、今や中国における個人信用プラットフォームとなっていますが、将来は個人情報保護の問題がクローズアップされる可能性もあり、このままの状態で存続するかどうかは不透明です。
日本での導入は難しいと思いますが、ビジネスモデル自体は参考になるのではないでしょうか。
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