Regional Transformation地域創生
2024.01.11
全国屈指の「住みここち」~人口が増え続ける町 東神楽町
みらいコンサルティンググループは、2023年12月、北海道で2拠点目となる旭川サテライトオフィスを開設いたしました。そこで今回は、地域創生の「リアル」と「今」を知るべく、旭川市の隣町である東神楽町(ひがしかぐらちょう)を訪問し、山本進 町長にお話を伺いました。
東神楽町について
東神楽町は「旭川家具」の製造のほか、米やグリーンアスパラなど農畜産物の生産が盛んな町であり、春から秋にかけては町の至る所で色とりどりの花にあふれる「花のまち」としても知られています。また、北の空の玄関口「旭川空港」があるのは、実はこの東神楽町、つまり、旭川空港を利用して北海道を訪れた方は、東神楽町の空気を胸いっぱいに吸い込んで、「北海道に来たー!」と大自然を感じているのです。
▲写真 左 東神楽町観光協会 発行「今日はひがしかぐらで。」と、東神楽町130年記念事業“Higashikagura WARA ART”のパンフレット。米どころ東神楽町ならではの「わら」でつくられた、迫力満点のスティラコサウルスに目を奪われます。
▲写真 右 東神楽町役場に展示されている町特産品の数々。インタビュー当日は甘酒を飲みながら真っ白に輝く雪原を横目に車を走らせました(もちろん、ノンアルコールです)
東神楽町の驚くべきは、その「人口(動態)」です。なんとこの40年間、町の人口はほぼ右肩上がりで増え続けており、山本町長いわく「住みたくても、空き家がない」状況だというのです。
図)地域経済分析システムRESASより作成 東神楽町人口推移 https://resas.go.jp/
人口増加の秘訣とは
東神楽町は、なぜ人口減少にあらがうことができているのでしょうか。子育て支援策などが奏功しているとも言えますが、旭川市に近く、また空港を有するなどのハード面とともに、山本町長のお話からは、東神楽町の「コミュニティシップ」と「リーダーシップ」というソフト面、町民の強さこそ、同町が人を惹きつける魅力の秘訣なのでは、と感じました。
まず、町長のお話からは「自分の町だけよければよい」という考え方はなく、他の地域とともに発展していこうという想いが伝わってきます。この考え方は、これまでインタビューさせていただいた上川管内市町に共通するもので、「旭川家具」ブランドを一丸となって守り続ける姿勢に見て取ることができます。山本町長の活動で特筆すべきは、他の市区町村や国でも多数の講演を行い、東神楽町におけるシステム化などの取組を他地域でも参考となるよう積極的に情報提供を行っていることです。町長自ら町職員のコンプライアンス研修、DX研修を行っていると伺ったときは本当に驚きました。
▲東神楽町について自作資料をもとにお話しされる山本町長
この強さは町長だけでなく東神楽町民にも浸透しているようで、山本町長によれば、町は地区別にいくつかのコミュニティに分かれており、そこに住む町民自らが積極的に当事者意識をもって政策提案を行っているそうです。
ひとりひとりがリーダーシップを発揮する、まさに「自治」のモデルでありながら、決して内向きにならず、コミュニティの外とも連携し、住人同士で住みやすい町を、また、住みやすい地域を町同士で築き上げているのです。
インタビューを終えて
行政と住民、双方の意識やパワーバランスによっては「自治体」とは名ばかりの「依存体」となり、住民は誇りを失い、新たに住みたいと思わせるような町の輝きも損なわれてしまうことでしょう。町民みずからがリーダーシップとコミュニティシップを持つことこそ、真の意味での「自治体」として存在できることを、今回、東神楽町から学びました。
最後に、インタビューにご協力いただいた山本町長、東神楽町役場の皆さまに厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。
▲東神楽町 山本進 町長と。東神楽町のマスコットキャラクター「かぐらっきー」に囲まれて。
<執筆者>
北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
吉田 慶太
※大東建託いい部屋ネット調べ
「街の住みここちランキング2022自治体ランキング」
<北海道版><ふるさと版>ともに第2位(第1位はお隣 東川町)
「街の幸福度自治体ランキング2022」
<北海道版>第1位