Regional Transformation地域創生
2024.09.11
音楽×温泉により地域を盛り上げる!日本精機宝石工業株式会社さまの取り組みについて
先日、新温泉町に訪問した際に、同町で活躍されている日本精機宝石工業株式会社さま(NIPPON PRECISION JEWEL INDUSTRY CO., LTD 、通称JICO社)に訪問し、当社の事業内容や当社の代表取締役である仲川 和志さまから地域振興に向けた取り組みについてお話を伺いましたのでご紹介します。
日本精機宝石工業株式会社さまの事業内容と歴史について
JICO社は1959年設立、レコードプレーヤー用レコード針の設計・製造を主に行っている会社です。このレコード針ですが、種類は2000ほどあり、JICO社ではそれぞれを一本単位で一貫生産されています。また、その製造は機械ではなく、一本ずつ音を確認しながら手作業でおこなわれており、0.数ミリのパーツを組み立てる作業に携わる社員は職人ともいえる領域に至っています。
このような高い技術力をもつJICO社ですが、創業当初は縫い針の製造が主で、時代の変遷の中で、縫い針製造で培われた技巧を生かし、蓄音機やレコード針の製造・設計に少しずつシフトし、現在のレコード針の設計・製造に至ったとのことです。立地についても、創業当時は今よりも不便だったようですが、先人たちは生産設備などのすべてを自社で設計・製造・修理という形で立地のハンディキャップを乗り越え、それが独立独歩の精神へと昇華したのだと思います。この考えが脈々と受け継がれており、今でも常に独自性を考えることを大事にされています。
また、JICO社では、レコード針の製造等の事業のほか、レコード針やそれが織りなす音楽の魅力を活用し、レコードの製造現場の見学、および、レコードや蓄音機を五感で体験しながら地域の食材をふんだんに使った食事を楽しめる事業「Feel Records~レコードの体験型オープンファクトリー~」の企画・運営もおこなっています。当事業は、兵庫県の2025年大阪・関西万博を見据えた取り組みである「ひょうごフィールドパビリオン」(地域の「活動の現場そのもの(フィールド)」を、地域の方々が主体となって発信し、多くの人に来て、見て、学び、体験していただく取り組み)として同県から認定されているなど、幅広く注目されています。
仲川代表取締役による音楽を生かした地域振興への取り組みについて
このような自社の強みや魅力を生かしながら、さまざまなことに挑戦されているJICO社で、代表取締役の仲川さまは、2024年7月1日に「一般社団法人シン音泉」を設立し、地域外の研究機関や企業等と連携しながら地域振興に取り組んでいます。どのような想いをもって取り組まれているかの質問に対し、仲川さまは「新温泉町は山や海に囲まれており、また別途契約により一般家庭でも温泉の配湯サービスを受けることができるなど、素晴らしい魅力がある。にもかかわらず、その魅力を町民含めて気付いておらず、町民自らがネガティブな発言をしていることを聞く。子どもたちが再び新温泉町に帰ってきたいと思ってもらえるよう、新温泉町の魅力をPRし、町民自らが誇りを持てる町にしたい」といったビジョンを伺うことができました。
地域振興を進めるにあたっては、少子高齢化や空き家問題など、山積みの「目に見える課題」を一つずつ解決することが重要であると考えられがちですが、今回の話を受けて、地域振興によって「何を実現したいか」、そして「その先の目指すビジョンは何か」を考えることが重要であることを学ばせていただきました。
今回も新温泉町の魅力についてご紹介させていただきました。本コラムでは表現しきれない魅力がたくさんありますので、ぜひ実際に新温泉町に足を運んでみて、その良さを体感してみてはいかがでしょうか。
<執筆者>
西日本地域共創株式会社
山本 直樹
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