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2024.12.19
引き継げる経営

節税対策だけではない「相続対策」

節税対策だけではない「相続対策」…

2022年国税庁資料によると、亡くなった方の内、相続税が課されるケースは10人に1人と言われており、近年の税制改正でも相続税の基礎控除額が減額となったことから相続税の課税対象者が増加しています。

「相続対策」というと節税対策について考えがちですが、税金以外で検討や準備しておくポイントをご紹介します。

 

 

まず、事前の検討や準備不足により実際に問題が発生したケースを以下ご紹介します。

 

・残された相続人が亡くなった方の財産・債務の確認に時間を要した結果、相続税の申告期限までに分割が間に合わない。

・相続をきっかけに残された家族間で争いが生じてしまう。

・オーナー社長の相続で株が分散し、いずれ会社の経営に支障をきたしてしまう。

 

相続申告のご支援に携わる中で、税金以外の対策、すなわち、「残される相続人が困らない・揉めないようにしておく対策」の必要性をいつも感じます。

 

検討すべき事項

相続対策にはいくつかありますが、大きく下記に分けられます。

(1)実務上の手続き面での対策 ~残された相続人が手続きで困らないように

相続税の納税義務がある場合、申告期限は相続開始から10カ月ですが、どこにどのような財産があるのか相続人に情報が残されていない場合、財産・債務の確認に時間がかかり、申告期限が到来してしまうケースがあります。

預金口座の名義変更や解約が必要となるもの、生命保険など受取り手続きが必要なものについて、相続人にわかるようにしておく必要があります。

    

(2)財産の分割に関する対策 ~揉め事がおこらないように

遺言書がある場合には遺言書に従って分割をおこないますが、なければ相続人間の話し合いによって財産の分け方を決定します。

たとえば、生前に特定の家族にだけ高額な贈与をした場合には、相続人間で揉める原因となることがあります。

残される家族が生活に困らないようにどの資産を誰に分けるか、元気なうちにご家族間で話し合いをすることや、遺言書を作成し、個人の財産の分け方について意思を伝えることは、いわゆる「争族」の防止に繋がります。

 

(3)税金対策

相続財産の内容によっては、税務上の特例の適用を受けてどのタイミングで財産を移すのがよいのか(相続時か、生前贈与かなど)を事前に検討することで納める税金の額が変わってきます。

ちなみに、余談ですが、相続時に財産の評価額を下げる方法として、たとえば、小規模宅地の特例があげられます。被相続人の居住用の土地や事業で使っている土地、賃貸用の土地については、一定の要件を満たすことで、評価額の50~80%を減額することが可能となる、という特例です。

要件を確認し、早めに準備をすることが大事だということがおわかりいただけるかと思います。

 

(4)納税資金対策

相続税は原則として現金で納付しますが、仮に不動産や非上場株式など換金性の低い財産が多い場合には、納税のための現金が不足する、といったことが実際にあります。

その場合、不動産を売却して現金化したり、生命保険を活用して納税資金を準備する、といった対策が必要となります。

ちなみに、死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」相当額までは相続税が非課税となりますので、納税資金の準備という観点で効果的です。

    

 

相続の話はまだまだ先のことと思いがちですし、相続人となる子世代から親世代に話題を切り出すことに対してはどうしても心理的に抵抗があると思います。

ただ、相続対策は若く元気なうちから、時間をかけて家族と話し合いをしておくこと、準備をしておくことで余計な金銭負担や心労を回避できるものでもありますので、ぜひご検討ください。なかなか言い出しにくい、という方は外部専門家を活用することも有効です。

 

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