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8tips右肩上がりの経営

2019.10.11
右肩上がりの経営

株式上場を望むなら、押さえておきたい要件とポイントについて

株式上場を望むなら、押さえておきたい要件とポイントについて…

(写真=画像素材:PIXTA)

規模の大小に関わらず、自社の上場を望む経営者はけっして少なくないはずです。もし上場が叶うのであれば、企業にとっては大規模な資金調達ができる可能性が広がります。しかしその一方、証券取引所に上場するためには、事前にいくつもの審査基準をクリアしなければなりません。そこで本稿では株式上場を望む経営者のために、押さえておきたい要件とポイントについてお伝えします。

上場には2種類の要件がある

企業が上場するにあたっては、証券取引所が定めた審査基準をクリアしなければなりません。この審査基準は2種類あり、一つは「形式要件」、もう一つを「実質要件(実質基準)」と呼びます。これらの審査基準は、東証やマザーズなど、それぞれの取引所によって満たす数値などが異なるところもありますが、今回は東証一部を例に各要件について大まかに解説します。

形式要件

形式要件とは、企業が株式を上場させるに至る前までに満たさねばならない定められた条件のことです。形式要件は4つの項目に分けられます。

①株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための要件
・上場時株主数:2,200人以上(以下、東証一部上場の場合)
・流通株式数:2万単位以上
・時価総額:250億円以上
②企業の継続性、財政状態、収益力などの面からの上場適格性を保持するための要件
・事業継続年数:新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3ヵ年以前から取締
役会を設置して、継続的に事業活動をしていること
・純資産額:連結純資産額で10億円以上
・利益額:(a)最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
(b)時価総額が500億円以上
上記のいずれか
③適正な企業内容の開示を確保するための要件
・虚偽記載または不適正意見などのないこと
・上場会社監査事務所による監査
④株券の流通に係る事故防止、円滑な流通を担保するための要件
・株式事務代行機関の設置
・単元株式数および株券の種類:単元株式数が100株となる見込みのあること
(a)議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式
(b)複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける
権利の価額などが他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付
株式
(c)無議決権株式
新規上場申請に係る株券などが、上記のaからcのいずれかであること
・株式の譲渡制限がないこと
・指定保管振替機関の取扱同意
・合併などの実施の見込み

上記の要件はさらに細かい条件もあるため、東証一部上場を目指す方は入念な下調べをする必要があります。

実質要件

実質要件(実質審査基準)とは、上場をする際、申請企業が上場にふさわしい内容を備えているかについて審査するための要件です。実質要件は数値で測れるものではなく、あくまでも質に関する部分について調べることに重きが置かれます。

実質要件は東証一部二部、マザーズ、JASDAQなど、それぞれにおいて内容が異なります。東証の場合は以下のようになります。

1.企業の継続性および収益性
2.企業経営の健全性
3.企業のコーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性
4.企業内容などの開示の適正性
5.その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

たとえば、「企業の継続性および収益性」とは、継続的に事業を営み、安定的な収益基盤があるかどうかということです。これらの要件については『上場審査等に関するガイドライン』が存在しています。このガイドラインに照らし合わせ、問題がないかどうかを精査するのが実質要件となります。

上場に際して押さえておきたいポイント

企業がはじめて上場に臨むにあたり、自社内で扱いにくい点がいくつか出てきます。とくにその中であいまいになりがちなものが、
・人事労務
・財務
の2点です。

人事労務

人事労務は、社内における組織や管理・統制およびコンプライアンスなどに関わる部分です。上場の際、経営者は売上・利益の確保や事業の継続性には目を向けますが、社内統制などについてはついあいまいになったり、ときに見落としがちになったりしがちです。

とくに上場の際、指摘されがちなポイントとして、
・就業規則がきちんと整備されているか
・残業代の未払いなどが生じていないか
・人事関係で訴訟などを起こされていないか
などのチェックポイントが挙げられます。

財務

財務においても注意点が必要です。たとえば上場時期を知っている人が短期利益を図るおそれがあるため、これをどう防止するのかなどについても考える必要が出てきます。一例として第三者割当増資などの規制が挙げられますが、もしこれに抵触すると上場が不受理になるおそれもあるため、事前に十分な注意が求められます。

上場に関しては専門家に相談を

上述のように、株式上場を行うにあたってはさまざまな条件を満たす必要があります。この分野は多岐にわたるため、できればIPOを得意とするコンサルティング会社などに相談することをおすすめいたします。

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