8tips最大効率の経営
金利上昇時代における「資本コスト」を意識した経営とは?
近年、金利上昇が企業経営に大きな影響を与えています。日本銀行の金融政策の変更により、金利上昇の局面に入りました。このような外部環境の変化は、企業の資金調達コストに直接的な影響を及ぼします。資金調達コストのことを別名で「資本コスト」といいます。本コラムでは「資本コスト」が経営にどのように結びついているのかについてシンプルに解説します。
資本コストとは?
資本コストとは、企業が資金を調達する際にかかる費用のことです。具体的には、借入金利や株主が求めるリターンなどが含まれます。企業が新しいプロジェクトや設備投資を行う際には、この資本コストを上回るリターンを得ることが求められます。
飲食店を例にすると…
ここで、飲食店を例にして資本コストの重要性を考えてみましょう。飲食店の経営者になったつもりで、以下のシナリオを考えてみてください。
「あなたは繁盛している飲食店の経営者です。店の人気メニューを増やすため、新しい調理機器の導入を検討しています。必要な設備投資額は2,000万円。この投資により、年間の売上は10%増加すると見込んでいます。」
このような投資判断をおこなう際、資金調達方法とそのコストを考える必要があります。まず、資金調達には主に二つの方法があります。
◆KeyWord①:金融コスト
銀行からお金を借りる場合、借入金利がかかります。たとえば、借入金利が5%であれば、借りたお金に対して毎年5%の利子を支払う必要があります。これは比較的わかりやすいコストです。
◆KeyWord②:株主コスト
一方、自己資金や投資家からの資金を使う場合、その資金に対してもリターンを期待されます。たとえば、手元に1,000万円があるとします。このお金を貯蓄しておけば、年利2%で20万円の利息が得られます。また、資金運用して年利5%なら50万円の利益を得ることも可能です。これらを上回るリターンを得るためには、飲食店の経営で少なくとも5%以上のリターンを生み出す必要があります。これが株主コストです。
金利上昇のインパクト
しかし、金利が上がると借入金利も上昇します。たとえば、借入金利が5%から7%に上がった場合、借りたお金に対して毎年支払う利子が増加します。これにより、借入を利用した投資のコストが高くなり、さらに、事業が期待通りのリターンを生まない場合には、借入金利の上昇が経営に大きな負担となるリスクもあります。
先ほどのシナリオに戻って考えてみましょう。銀行からお金を借りる場合の金利が5%で、自己資本コストが10%だとします。これらを調達額に応じた加重平均で資本コストを計算した結果、たとえば7%になったとします。
この厨房設備の導入によって、飲食店のリターンが7%以上増える見込みがあるならば、この投資は合理的です。しかし、もしリターンがそれ以下であれば、投資は見送るべきです。これが資本コストを意識した基本的な考え方です。
投資効率を高める経営の重要性
このように、金利上昇時代には投資判断がより慎重になります。そのため、限られた資金をより効率的に活用する必要があります。ここで重要になってくるのが、設備投資だけでなく、人材への投資も含めた総合的な経営判断です。
たとえば、高額な設備投資の代わりに、従業員のスキルアップを図り、既存設備での生産性を向上させる方法も考えられます。従業員の能力向上により、顧客満足度が高まり、リピーターが増加すれば、大きな設備投資をせずとも収益を改善できる可能性があります。
まとめ
金利上昇時代において、企業は資本コストを意識した投資判断がこれまで以上に求められます。資本コストを上回るリターンを追求しながら、設備投資と人材育成のバランスを取ることで、企業は持続的な成長を実現することができます。これからの時代、これらの物差しをしっかりと持ち、戦略的な経営をおこなうことが大切です。もし資本コスト、および、それを意識した経営のあり方など、ご相談事項がございましたらお気軽にみらいコンサルティンググループにお問い合わせください。
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